研究概要 |
本年度は、glucoseを基本骨格とし、水酸基がgallate基、hexahydroxydiphenoyl (HHDP)基等でアシル化されている植物ポリフェノール(加水分解型タンニン)21種類を中心として全38種類の植物ポリフェノールについて解析を行った。なお、対照にはMatrix metalloproteinase (MMP) -2/-9阻害活性を有することが報告されているepigallocatechin-3-gallate (EGCG)を用いた。 まず、in vitroにおいてMMP-2/-9阻害活性を検討したところ、EGCGと比較して、MMP-2については11種類、MMP-9については14種類のポリフェノールがより高い阻害効果を示した。特に、glucoseの2、3位がHHDP基で架橋された6-O-ganoyl-2,3-HHDP-β-D-glucose、及びpraecoxin B、また3、6位がHHDPで架橋されたtercatanin、punicafolin、elaeocarpusin、chebulagic acid、geraniin、及びputranjivain A、さらに4、6位がHHDPで架橋されているeugeniin、及びgalloyl pedunculaginに強い阻害活性が認められることを明らかにした。 次に、上記MMP阻害活性を有する植物由来ポリフェノールが細胞運動、及び浸潤を阻害するかを検討した。その結果、in vitroにおいてMMP-2/-9阻害活性を示した植物由来ポリフェノールは、HGFに応答したMDCK細胞の細胞分散運動、及びHT1080細胞のMatrigel浸潤を濃度依存的に抑制し、特にtercatanin、punicafolin、及びelaeocarpusinに関してはEGCGと比較して高い阻害活性を示した。 なお、本解析に用いた植物由来ポリフェノールはERK-MAPキナーゼ系、及びMMP-2/-9の産生分泌には影響を及ぼさないことから、MMP-2/-9の活性を直接阻害することで細胞運動及び浸潤を抑制する可能性が示唆された。
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