研究課題/領域番号 |
14032201
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡田 雅人 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10177058)
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研究分担者 |
名田 茂之 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (50291448)
広瀬 隆 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (30343247)
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キーワード | がん遺伝子 / Src / 浸潤転移 / Csk / 上皮組織 / 細胞接着 / 線虫 / がん |
研究概要 |
がん体質は、がん原遺伝子やがん抑制遺伝子などのがん関連遺伝子の変異の状況を反映するが、がん化の抑制、あるいはがん化した細胞の活動をコントロールする新たな方策を開拓するためには、がん関連遺伝子の本質的な機能と制御機構に関する分子レベルでの理解が重要となる。そこで、Src型がん原遺伝子産物(Src family kinase ; SFK)に焦点をあてて、それらの機能および制御機構の解析を通して、がんの悪性化、特に浸潤転移能獲得のメカニズムを明らかにすることを目的とした研究を行った。1)表皮組織特異的にCskをKOしてSFKを活性化すると、基底層細胞の形質が変化し、細胞間接着の破綻、細胞外基質との接着能の亢進、細胞骨格系の攪乱、アクチン結合蛋白質Cortactinのリン酸化の亢進に伴うInvadesomeの形成などが認められた。また、神経堤由来の上皮様細胞でも同様な現象が認められたことから、SFK/Cskが上皮系細胞の形質維持、特に細胞極性の維持を担う細胞間接着を細胞骨格系を通して制御することが明らかとなった。2)線虫の発生過程においても、SFK(SRC-1)が細胞運動の方向性を決定するシグナル伝達系で必須の役割を担うことを明らかにした。また、下流因子としてRac経路を同定し、SRC-1が細胞骨格系の制御を介して細胞運動をコントロールしていることを示した。3)SFK/Cskの制御に関与するCsk結合Raft蛋白質(CbpおよびLIME)とCskSH2ドメインとの結合に重要なアミノ酸配列の解析を行い、特異的認識を担う新たな結合様式を見いだした。4)Cskの発現制御に係わるプロモーター領域を特定し、発現制御機構を解析した。
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