研究概要 |
ツメガエルのWee1Aタンパク質は、卵形成や卵成熟において特殊な調節を受けている。すなわち、そのタンパク質は卵形成過程の進行とともに徐々に減少しst.IVから検出されなくなる。その後卵成熟が開始すると、卵核胞崩壊(GVBD)後約1時間して再合成される。この間、Wee1A mRNA量はほぼ一定であることから、この合成は翻訳の段階で調節されていることが強く示唆された。今までの我々の研究から、Wee1A mRNAの3'の非翻訳領域(3'UTR)に存在する3ケ所のcytoplasmic polyadenylation signal(CPE)が翻訳制御(翻訳抑制)の重要なcis elementであることが明らかになった。今回、その翻訳抑制機構を明らかにする目的で、まずWee1Aの3'UTRを大量に卵母細胞に注入した時に観察されたホルモン刺激無しの卵成熟がなぜおこるかを解析した。Western blottingの結果、Mosが初期に合成されその後Wee1Aが合成されていた。MosのmRNAの3'UTRにはCPEが1個しかないがWee1Aのそれには3個のCPEが存在する。このことは、CPEの数が卵成熟における翻訳時期を決定している可能性がある。そこで、CPEの数を変えたWee1A mRNAを作製し卵に注入した。その結果、予想に反してCPEの数と翻訳時期には関係が無かった。さらに、Wee1Aの翻訳抑制に関与するタンパク質を調べるため、Cyclin B1mRNAの翻訳抑制に関与しているとされているMaskin, CPEBをコードするmRNAを注入してWee1A mRNAの翻訳が抑制されるかどうか調べた。その結果、Maskin, CPEBの過剰発現でWee1A mRNAの翻訳は抑制された。これらの結果から、Wee1A mRNAの翻訳抑制にMaskin, CPEBが関与する事が示唆された。
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