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2002 年度 実績報告書

体軸形成過程におけるp53転写因子の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 14034237
研究機関広島大学

研究代表者

鈴木 厚  広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20314726)

キーワード初期発生 / アフリカツメガエル / p53
研究概要

<研究目的>
代表者は、前方神経を後方化させて、後方特異的なホメオボックス遺伝子の発現を誘導する遺伝子としてアフリカツメガエルのp53転写因子(xp53)を単離した。本研究では初期発生過程におけるxp53の機能を明らかにすることを目的として以下の解析をおこなった。
<研究成果>
(a)xp53は中胚葉と内胚葉を誘導する。
xp53 mRNAをアフリカツメガエル胚に注入した後、アニマルキャップアッセイを行い、初期原腸胚および神経胚期における遺伝子発現をRT-PCR法によって調べたところ、xp53 mRNAの注入量に応じて中胚葉と内胚葉に特異的なマーカー遺伝子を誘導することが分かった。xp53によって腹側と背側の両方の中胚葉マーカーが誘導されており、xp53は背腹軸に沿った中胚葉の形成に関与すると考えられた。
(b)xp53はホメオボックッス遺伝子の発現を直接誘導する。
xp53は転写因子として機能することから、誘導される遺伝子群の中から、初期原腸胚期においてxp53が発現を直接制御する遺伝子(xp53の標的遺伝子)を同定することを試みた。その結果、少なくともホメオボックス遺伝子であるMix.1とXhox3がタンパク質合成を必要とせずに誘導され、これらの遺伝子がxp53の標的遺伝子であると考えられた。
(c)xp53は腹側と後方領域の形成に必要である。
胚に内在するxp53の機能を明らかにすることを目的として、xp53の機能阻害実験をおこなった。p53の機能を阻害するDominant negative xp53(dnxp53)を胚の腹側で発現させた時に高頻度で2次軸の形成と後方領域の欠失が認められた。2次軸を形成した胚の組織化学的な解析から、2次軸には神経組織と筋肉組織の形成が確認され、腹側中胚葉の背側化が示唆された。dnxp53を発現させた腹側中胚葉の外植体における遺伝子発現をRT-PCRにより解析したところ、腹側中胚葉マーカーXhox3の発現が著しく減少し、代わりに背側中胚葉マーカーgoosecoidの発現が検出され、初期原腸胚期において、すでに背側化が起きていることが確認された。以上の結果から、xp53は初期胚において、腹側と後方組織の形成に必要であることが明らかになった。

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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