多くの軸前側多指症を示すマウス突然変異系統では、発生胚の肢芽におけるShhの発現異常が観察されている。しかし、後肢にのみ多指症を示すXpl系統では、発生胚の肢芽においてShhの発現異常に先立って、Gli1の異常が見られた。このことから、Xpl個体におけるGli1遺伝子非存在下での表現型を解析するため、Gli1ノックアウトマウスとXplとを用いた交配を行い、ダブルヘテロ個体の作製を行った。現在、これらの個体とGli1ノックアウト個体との交配を行っており、ダブルホモ個体の解析のための準備が整っている。 さらに、ポジショナルクローニング法により、Xpl変異の候補遺伝子の探索を行った。このため、大規模な戻し交配に基づいた詳細な連鎖解析とBACクロンを用いた物理的地図を作製した。この地図を基に、cDNA選択法とヒト、マウスのゲノム配列データベースを用いた検索により、肢芽で発現する2つの有力な候補遺伝子を単離した。RT-PCRやWhole mout in situ hybridization解析による発現解析の結果、どちらの遺伝子もマウス発生胚の肢芽で発現されていることを確認した。Xpl突然変異体のゲノム解析の結果、Xpl遺伝子のコード領域に塩基置換は見出されなかった。現在、これらの遺伝子のゲノム構造の解析とノックアウトマウスの作製を行っている。
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