研究概要 |
1.アフリカツメガエルにおける眼の誘導 申請者はアフリカツメガエルの系において、RaxとSmad10の共発現により異所性に眼様構造の形成が引き起こされることを見出した。さらに、その構造の内部は、パラフィン切片を作製し染色法を用いて観察すると、眼の内部構造と著しく類似していた。このことから、Raxは眼の形成の最上流の因子のひとつであることが示された。 2.アニマルキャップアッセイを用いた眼の初期形成に関わる因子の誘導システムの確立 RaxとSmad10をともにアフリカツメガエルの受精卵動物極に注入した。22℃で6時間培養した後、動物極先端の領域(アニマル・キャップ)を切断し、アニマルキャップを22℃で約1日間培養。その後、全RNAを精製しcDNAを合成した。cDNAの一部を鋳型として、眼のマーカーであると考えられる遺伝子に対するプライマーを用いたRT-PCRを行い遺伝子発現を検定した。RaxとSmad10をともに注入した胚から得たアニマルキャップにおいて、神経マーカー及び眼のマーカーの発現が認められた。これらの結果から、我々はアニマルキャップアッセイを用いた眼の初期発生に関わる分子の誘導システムを確立した。このシステムは眼の初期発生に関わる分子の発現誘導解析に利用可能である。 3.眼の初期発生に関わる分子のマイクロアレイによるスクリーニング Rax, Smad10により発現が誘導される遺伝子を効率的にスクリーニングするために、最近急速に発展しているアレイシステムを用いる。共同研究により、岡崎基礎生物学研究所の上野直人教授らの開発したアフリカツメガエルの初期胚のマクロアレイをスクリーニングしている。
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