研究概要 |
これまで、129sv-C57Bl/6交雑系における観察からEvx2遺伝子欠損マウスの表現型として行動異常が考えられた為、その行動遺伝学的解析を目的とし、Evx2欠損のC57Bl/6へのバッククロスを行い、F7の取得を完了した。現在、それらのヘテロ接合体を交雑し、行動及び解剖学的解析の準備を進めている。また、Evx2-Hoxdl3間に存在するクロマチンバウンダリー(境界領域と呼ぶ)の解析においては、ES細胞を用いた、ターゲティドトランスジーンの手法により約2,5kbのDNA断片を単離した。しかしながら、それ以上の短縮により、境界領域としての機能が失われることが判明し、多種の蛋白質-DNA相互作用が境界機能発現に必要とされることが判明した。本活性試験は全て本DNA断片が存在しているHox遺伝子近傍で行われており、現在、本DNA断片によるHox近傍以外の挿入点における境界形成機能の発現の可能性を検討している。また、境界領域の本来の候補であった断片全体である5kbの断片を用いた解析においては、本来のゲノム上での機能と同様脳、中枢神経系のみで活性が見られ、肢芽及び生殖原基での活性は見られなかったが、今回単離された2.5kbにおいては全ての細胞において活性を発現することが見い出された。そこで、残りの2.5kbによる細胞特異性を付与する調節機能が示唆され、現在はその調節機能解析を中心として、DNaseI高感受性試験、メチレーションの有無等の生化学的解析を行っている。また、その調節領域をゲノムから欠失させたマウスをES細胞を用いたターゲッティングにより作製している途上であり、配偶子へのトランスミッションを待っている。
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