研究概要 |
本研究は、リボソームの異常に起因する新たな疾患群「リボソーム病」を確立し、その発症機構を分子レベルで解明することを目的とする。平成16年度は、(1)リボソームタンパク質(RP)遺伝子データベースの拡充、(2)ヒトRP遺伝子の転写調節機構の解析、(3)リボソーム異常のモデル動物の作成、(4)核小体低分子RNA(snoRNA)遺伝子の系統的解析を行った。 1.RP遺伝子データベース'RPG'(http://ribosome.med.miyazaki-u.ac.jp)の充実を図った。本年度は新たに、真核生物2種、古細菌3種、真正細菌3種のデータを収集し、現段階で1,400遺伝子の情報を整備した。個々の遺伝子情報はインターネット経由で簡便に参照できるように設定しており、公共のデータベースともリンクさせた。 2.iAFLP法(RT-PCI)を用いてRP遺伝子の発現プロファイルを作製した。このプロファイルとプロモーター構造に関するデータを比較解析し、協調的な発現の調節に関わるエレメントの候補を同定した。また、発現プロファイルのクラスタリングを行った結果、多くのRP遺伝子の発現が協調的に制御されていることが明らかになった。 3.ゼブラフィッシュを用いてRP遺伝子のノックダウンを試みた。ダイヤモンド・ブラックファン貧血との関連を調べるために、その原因候補遺伝子RPS19をモルフォリノオリゴを用いてノックダウンし表現型を解析した。また、ホールマウントin situハイブリダイゼーション法により造血系の遺伝子を解析した結果、GATA-1遺伝子の発現に低下が見られた。 4.線虫rRNAにおけるメチル化部位の解析を通して、新規snoRNAを同定する手法を確立した。また、RP遺伝子のイントロンに内在するsnoRNA遺伝子を検索し、これらを生物種間で比較した結果、脊椎動物のsnoRNA遺伝子は、宿主遺伝子が共通であっそも存在するイントロンの位置に違いがあることを明らかにした。
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