研究課題
[研究A]キャップ形成の酵素機構とmRNA合成初期反応との関係(水本担当):1)昨年に引き続きキャッピング酵素の転写初期反応における役割を固定化鋳型DNAを用いたin vitro転写系を用いて解析した。本年度は、(1)キャップの付加の時期をアデノウイルス後期主要プロモーターとヒトポリペプチド鎖伸長因子プロモーターについて調べた。その結果、いずれのプロモーターにおいても、RNA鎖が18nt伸長した時点でキャップの付加が起こる事を明らかにした。(2)キャップ付加前後におけるキャッピング酵素の転写複合体中での動態を調べるために、転写開始ならびに伸長複合体構成成分の変化をウエスタンブロッティングによって解析する系を構築した。2)センダイウイルスRNAポリメラーゼLタンパク質がウイルスmRNA特異的にキャップ構造のG-7位メチル化を触媒する事をはじめて生化学的に証明した。Lタンパク質はウイルスmRNA5'末端の塩基配列を特異的に認識すること、細胞のキャップG-7メチル化酵素と反応の性質が大きく異なることを明らかにした。[研究B]mRNA品質管理機構とキャップ構造(稲田担当):細胞はmRNAの品質を厳密に監視して不良品を速やかに除去するサーベイランス機構を保持している。終止コドンを含まない異常mRNA(ノンストップmRNA)は、コード領域の途中でポリ(A)が付加された場合や、フレームシフト変異によって生じる可能性がある。最近、真核生物においてノンストップmRNA特異的分解系が発見され、3'→5'方向の分解が重要な役割を果たすことが示された。本年度は、1)真核生物におけるノンストップmRNAの翻訳と分解機構を解析し、ノンストップmRNAの翻訳抑制と5'→3'方向の分解の関与が明らかになった。2)原核生物の系では、ノンストップmRNA由来の遺伝子産物を排除するシステムはトランス翻訳と呼ばれている。我々は、新生ペプチド鎖の配列に依存したリボソームの停滞によってノンストップmRNAが生じ、トランス翻訳により異常mRNAと異常タンパク質が分解されることを見いだした。
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