研究課題
[研究A]キャップ構造形成の酵素機構とmRNA合成初期反応との関係(水本担当):mRNAキャッピングと転写初期過程との関係を、1)RNAポリメラーゼII(polII)による転写と、2)ウイルスのRNA依存RNAポリメラーゼ(RdRP)による転写の場合について解析してきた。平成17年度は、1)polII転写開始反応(dATP添加)に依存してpolII CTDがリン酸化され、さらにこれに依存してキャップ形成が起こること、また、キャップ形成の時期はRNA鎖が18-19nt伸長した時点で起こることを明らかにした。キャップG-7-メチル化酵素もCTDのリン酸化依存的に転写開始複合体に組み込まれることを明らかにした。2)センダイウイルスRdRPにキャップG-7-メチル化酵素活性のあることを初めて生化学的に証明した。インフルエンザウイルスRdRPの持つキャップ構造依存エンドヌクレアーゼ活性の基質特異性について解析し、A型とB型ウイルスでキャップ構造メチル基の認識能が大きく異なることを見出した。[研究B]mRNAの品質管理機構とキャップ構造(稲田担当):遺伝情報を正確に発現する為に、細胞はmRNAの品質を厳密に監視して不良品を除去する品質管理機構を保持している。稲田は、終止コドンを持たないノンストップmRNAの品質管理機構を解析し、ノンストップmRNAの翻訳抑制とmRNAの両方向からの分解促進を明らかにした。平成17年度は、ノンストップmRNAの分解促進に必須なSki7pの機能構造解析を行った。その結果、Ski7pがリボソームに結合し、3'末端からの分解を促進することを実験的に証明した。また、ノンストップmRNA由来の遺伝子産物の発現抑制機構として、翻訳抑制に加えて、ノンストップmRNA由来の異常タンパク質の不安定化を見いだしている。ノンストップmRNAの3'末端からの分解の前提となる異常mRNAからのリボソームの解離機構や、ノンストップmRNAの5'末端からの分解促進の分子機構を現在解析中である。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
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