研究課題
分子擬態に関する研究1.ペプチド:解離後のリボソーム複合体は再生因子(RRF)と翻訳伸長因子EF-Gの働きにより解体・再生される。RRFタンパク質はtRNAと構造が酷似するため、RRFはtRNAの同じリボソーム部位にエントリーして、tRNAと同様にEF-Gによってリボソーム上で押されて移動し、複合体から解離するというモデルが梶らによって提唱されていた。しかし、EF-GのtRNA転移機能不全変異はRRFの機能に何ら障害を起こさず、モデルの誤りを証明した。2.大腸菌の中で機能しない異種RRFの活性を回復するようなEF-G変異や異種間キメラ誘導体を分離・解析した結果、RRF・EF-G・リボソームの3者間の協調した作動が重要であることを証明し、それらに関与するRRF機能中心を同定した。3.これまで構造が明らかでなかった真核生物の2型解離因子eRF3の結晶構造を分裂酵母eRF3を持ちいて世界で初めて明らかにした。通常のGタンパク質と異なり、GTP/GDP間でコンフォメーションの変化は観察されなかった。酵母プリオンに関する研究1.酵母eRF3はSUP35遺伝子によりコードされ、そのN末端ドメインのプリオン性ペプチド配列により動物プリオンと共通する特徴を示す。Sup35プリオンの機能不全は終止信号無視である。N末端のプリオンドメインはGln/Asn領域とペプチド反復領域に分離されるが、ペプチド反復配列からGln/Asnを完全に除去した変異体を作成し解析した結果、既存のSup35プリオンとは異なる(シャペロンHsp104非依存性)新種プリオンとなることが分かった。2.プリオン「株」の違いがプリオン化領域のコンフォメーションの違いとして安定に複製電波・伝搬することを証明し、Conformational Memory概念を提唱した。3.異種Sup35プリオンは種間障壁(species barrier)により伝搬が阻止される。この種特異性がN末端40アミノ酸領域に規定されることを発見した。
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