研究概要 |
<代表者>1.コリシンE5はC末端活性ドメインE5-CRDの活性でTyr, His, Asn, AspのtRNAのアンチコドンを切断して大腸菌を殺すが、出芽酵母のtRNAにも作用して細胞毒性を発揮できる。タバコ葉肉より部分精製した、葉緑体由来ではなく細胞質由来と考えられるtRNA画分に対して反応させると、特異的な低分子RNAが新たに出現したので、少なくとも試験管内では植物の細胞質tRNAにも作用できることが示唆された。 2.コリシンE3はリボソーム中の16S-RNAの3'末端に近いRNA配列を特異的に切断(rRNase活性)して大腸菌を殺すが、遊離の16S-RNAには作用しないので基質との相互作用は不明であった。活性ドメインE3-CRDに特異的結合するRNA配列をランダム配列から探索したところ、rRNase活性を阻害する一部が16S-RNAの切断部位近辺と相同性を持っていた。その典型配列をもとに更にランダム化したRNAの挙動を解析し、E3と16S-RNAとの相互作用を推定した。 <分担者>1.Met生合成系のシスタチオニンγ-シンターゼ(CGS)の遺伝子発現がMetの代謝産物であるSAMに応答しmRNAの安定性レベルで負に制御される現象を解析し、この制御においてmRNAの分解が誘導される前に開始コドンから94番目のコドンにおいて翻訳の停止が起こることを見いだした。また、5'側を欠くmRNA分解中間体の5'末端の位置は、リボソームの停止位置の5'側に生じるステムループ構造の根元に位置することを見いだした。 2.CGS mRNA安定性制御に影響を与えるシロイヌナズナ突然変異について解析を行い、突然変異株の中からこの制御においてトランスに働く因子に変異が生じたと考えられる変異株を3株分離した。
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