研究課題
<代表者>1.コリシンDのtRNase高活性ドメインをC末端103残基(D-CRD595)に特定し、D-CRD595単独およびImmDとの複合体の構造をX線結晶解析で決定し、先にImmDとの複合体構造を決定していたC末端94残基(D-CRD604)と構造と活性を比較した。D-CRD595に比べD-CRD604はN末端9残基を欠き、活性を大きく損なうが、ImmD複合体構造はほとんど同一なので、9残基の特異的重要性が示唆された。ImmDはD-CRD595の活性中心に結合し、またImmDの結合前後でD-CRD595は構造をほとんど変えていなかった。2.D-CRD595領域のさまざまな点変異体を作製して各残基の寄与を評価した。予想に反しN末端9アミノ酸は個別には重要でなかった。Hisと二つのLysが触媒中心と考えられ、先のコリシンE5とも異なる新しいRNase反応機構が推定できた。3.D-CRD遺伝子を出芽酵母に導入し、E5-CRDの場合と同様に、CRDの誘導発現に伴ってコロニー形成が停止した。しかし、大腸菌と異なり、tRNA感受性は同等なのに殺菌的でなく静菌的に見え、細胞毒としての作用が細菌と真核細胞とで異なる可能性が生じた。<分担者>1.植物のメチオニン生合成系の鍵酵素であるシスタチオニンγ-シンターゼ(CGS)の遺伝子発現制御では、S-アデノシルメチオニンに応答して翻訳伸長が停止し、それに引き続いてmRNAの分解が誘導され、その際に5'側を欠いたmRNA分解中間体を生じる。トープリント解析によってリボソームの停止位置を決定したところ、mRNA分解中間体の5'末端の位置は停止したリボソームに覆われる領域の5'側であることが明らかになった。2.停止したリボソーム内のペプチジルtRNAのtRNA分子種を同定したところ、ペプチジルtRNAがA部位に存在する状態でリボソームが停止していることがわかった。このことから、翻訳の伸長停止はtRNAの転座の段階で起こることが示唆された。このことは翻訳伸長阻害剤を用いた解析からも支持された。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (3件)
Biosci.Biotechnol.Biochem. 69(in press)
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