Huタンパク質に関する研究:HuDと相互作用するLC1の領域を各種変異体を用いて解析し、LC1のC末端領域に限定した。また、この領域の内部アミノ酸置換変異体が、HuDによる神経突起伸長を強く抑制することを明らかにした。また、ウイルスベクターを用いたHuD発現系を構築し、この発現系を用いてほとんどのPC12細胞の神経分化を誘導できたことから、今後の生化学的解析に利用できることが分かった。 MRG-1タンパク質に関する研究:RNAポリメラーゼに対する特異抗体を用いた解析によって、mrg-1遺伝子機能がない状態においても始原生殖細胞の全般的な転写活性には大きな影響がないことを明らかにした。一方で、mep-1変異体を用いてMRG-1の機能を解析した結果、MRG-1が生殖系列特異的な遺伝子pgl-1やnos-1の発現に必要であることを示した。これらの結果は、MRG-1がヒストン脱アセチル化酵素構成因子MEP-1に拮抗する機能をもち、クロマチンリモデリングを介してpgl-1をはじめとする生殖細胞遺伝子の発現活性化に働いていることを強く示唆している。 Mei2タンパク質に関する研究:Mei2タンパク質との関係が示唆されていた新規RNA結合タンパク質Mmi1の解析を行った。Mmi1タンパク質が体細胞期において、減数分裂特異的なmRNAを不安定化に導く因子であり、核内の数カ所に点状に局在することを明らかにした。減数分裂を誘導すると、Mmi1pタンパク質はMei2タンパク質が核内で形成する点状構造に集積していた。Mei2タンパク質が点状構造を形成できない変異株は減数分裂不能となるが、Mmi1タンパク質の機能を低下させることでこの表現型を抑圧できることを見いだした。これらの結果より、Mei2点状構造体の主たる機能が、Mmi1タンパク質を抑圧することであるとの結論を得た。
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