研究課題
本年度は実施計画に従って、脊髄性筋萎縮症原因遺伝子SMN1のエクソン7の異常スプライシング、および前頭側頭痴呆症原因遺伝子タウのニクソン10の異常スプライシングに着目し、それぞれのスプライシング制御機構の解明を目指した。1.脊髄性筋萎縮症遺伝子SMNエクソン7のスプライシング制御機構:SMN遺伝子のプレmRNA上に存在するスプライシング制御に重要なシス配列を2つ見出した。ひとつ(Element1)は、エクソン7のスプライシングを負に制御するシス配列で、この配列に対し抑制的に働くアンチセンスを導入することによりSMNのスプライシングを正常化させることに成功した(J.Biol.Chem.2002)。もうひとつのシス配列(Element2)は特徴的なステムループ構造を有し、Element1とは対照的にSMNエクソン7のスプライシングを正に制御する機能をもつことを明らかにした。2.前頭側頭型痴呆症原因遺伝子tauエクソン10のスプライシング制御機構:tauエクソン10プレmRNA-核タンパク質結合実験により、疾患に関連する変異をもったtauプレmRNAに特異的に結合するタンパク質が存在することがわかった。このタンパク質はtauエクソン10のエクソニック・スプライシング・エンハンサーという領域に結合すること、分子量が約30-35kDaであることなどからSRタンパクファミリーのひとつであると考えられた。現在、プレmRNA固定化カラムを作成して目的タンパク質の精製を試みている。
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