研究概要 |
プラナリアRCK/p54/Me31B familyタンパク質が、幹細胞中のクロマトイド小体と呼ばれるmRNP complexの構成分子のひとつであることを示した。また、脳の分化した神経細胞内においても、電子密度の高い、クロマトイド小体様の構造物が観察されることを明らかにし、このタンパク質がこの構造物に局在することを示し、RCK/P54/Me31B familyタンパク質が神経系においても翻訳制御に関与していることを示唆した。また、ショウジョウバエにおいては、細胞質内輸送途上のosk mRNAと複合体を形成している新規タンパク質として,翻訳開始因子eIF4EとCupと呼ばれるタンパク質を同定し、それらの機能解析を進めた。その結果、CupはeIF4Eと直接結合することでeIF4E-eIF4G相互作用を阻害し、osk mRNAの翻訳抑制因子として機能していることを示した。さらに、Cupはosk mRNAの3'UTRに結合するRNA結合タンパク質Brunoとも会合することを明らかにした。このBrunoは,osk mRNAの翻訳抑制因子として機能することが知られていたが,どの様にしてosk mRNAの翻訳を抑制しているのかについては全くわかっていなかった。今回の研究結果は、CupがBrunoとeIF4Eの結合を仲介し,5'末端と3'UTRを相互作用させることで,osk mRNAの翻訳抑制を実現している事を予想させる。このようなモデルは、種間を越えて保存された翻訳制御メカニズムの1つであると考えられた。
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