1.アンチザイムフレームシフトの分子機構解析 (1)フレームシフト信号配列の解析:哺乳動物アンチザイムの翻訳フレームシフト信号におけるポリアミン応答部位を検索した結果、シフト部位5'側に隣接する6塩基からなる配列が同定された。またヤツメウナギなど新たに数種の下等脊椎動物のシュードノットを含むシフト部位配列を決定した。 (2)分子遺伝学的解析:分裂酵母のフレームシフト検出系を改良し、カナバニン毒性に対する出芽酵母由来感受性遺伝子CAN1を指示遺伝子として染色体上に組み込んだ細胞株を作製した。これを用いてゲノムDNAおよびcDNAから多コピー性フレームシフトサプレッサーの選別と、リボソームをはじめとする翻訳因子遺伝子への変異導入による優性抑圧変異体分離を進めている。また、rRNA変異体の解析のための遺伝子破壊コンストラクト作製に向けてrRNA遺伝子をクローニングした。 (3)ポリアミン関連化合物のフレームシフト効果:無細胞翻訳系でアンチザイムのフレームシフトを抑制することが明らかとなった高度好熱菌由来分岐ポリアミンTetrakis(3-aminopropyl)ammonium(Taa)の細胞に対する効果を検討した。培地に添加したTaaはポリアミン輸送系によって培養CHO細胞に取り込まれ細胞増殖を阻害したが、アンチザイムのフレームシフトに対しては効果が認められなかった。 2.新たな翻訳リコーディング配列の検索:UGAコドン周辺のランダム配列ラィブラリーより、大腸菌発現系において+1フレームシフトを引き起こす配列をスクリーニングし、高効率の配列について発現産物の質量分析によりフレームシフト機構を解析した。
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