研究課題
特定領域研究
近年、non-coding RNA(機能性RNA)が生命現象において重要な調節機能を担うことが明らかになってきた。本研究は、機能性RNAの作用機序を分子レベルで理解し、それを応用することで新たな治療戦略を探ることを目的とした。RNA干渉(RNAi)の癌治療への応用、microRNA(miRNA)の機能の解析、人工進化法による癌蛋白質に高親和性のRNAアプタマーの作製、RNA素であるテロメレースの構造・機能的解析等を行い、以下の成果が得られた。(1)白血病の原因遺伝子mRNAを特異的に切断するsiRNAをデザインしノックダウンした結果、自己複製能の低下及び分化促進がみられたことから、RNAiによる白血病治療が可能であることが示唆された。(2)白血病細胞の分化誘導時に、miRNA発現が分化に伴ってダイナミックに変動することを明らかにした。(3)KRAS癌蛋白質およびその他癌関連蛋白質に特異的に結合するRNAアプタマーを数種取得した。これらは今後がんの診断治療薬開発のシード化合物として有用である。(4)テロメレースは、鋳型RNAをもつ逆転写酵素で、短小化したテロメアDNA末端にテロメア繰り返し配列を合成付加することで、末端複製問題によるテロメア短小化を代償し、細胞が老化にいたることなく増殖を持続することを保証する。テロメレース活性を担う触媒サブユニットと鋳型RNAをコードする遺伝子は知られているが、その反応を制御機構はほとんど知られていない。本研究では、ヒトおよび分裂酵母において、テロメレース制御に関わる蛋白質を生化学的に見出すことを目的とした。ヒトテロメレースは生化学的抽出が困難なため、実験を断念した。一方、分裂酵母テロメア最末端結合因子Pot1のプロテオミクス解析から、テロメレースをリクルートする因子としてCcq1を、負に制御する因子としてPoz1を同定することができた。
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