研究課題
1)シロイヌナズナ変異体を用いた維管束の連続性に関する研究VAN1の遺伝子を同定した。また、VAN4についても解析を進め、この遺伝子産物が小胞輸送系に局在することを明らかにした。これまでに遺伝子を同定したVAN3については、two hybrid screening用いてVAN3結合因子の検索を行った。その結果、VAN3はある種のダイナミンと結合していることが明らかとなった。このダイナミンの欠損個体でも維管束がとぎれとぎれの表現型が見られることから、VAN3はこのダイナミンと共同してある特定の小胞輸送を制御し、それが維管束の連続性に係わるシグナルの伝達に関与すると考えられた。さらに、VAN3の細胞輸送における機能を詳細に解析するために、VAN3-GFPをvan3突然変異体に挿入し変異形質を相補した個体を作成した。2)発生における局所的細胞間相互作用の解析木部細胞を連続的に形成するための局所的シグナルxylogen(ザイロジェン)は10程度の遺伝子サブファミリーを形成する。そこで、これらの遺伝子機能を解析するためにタグラインの収集とその表現型解析を行った。3)管状要素をエクトピックに誘導する因子の解析維管束細胞分化は細胞間相互作用の中で誘導されると考えられるが、この分子機構を知る目的で、維管束細胞分化がエクトピックに起こる変異体を探索した。このために、管状要素特異的に発現するxylanase遺伝子のプロモーターにGFPを融合させた遺伝子を導入したシロイヌナズナ植物体を作成し、これをEMS処理した。このラインをスクリーニングし、エクトピックにGFPが誘導されるラインを数ライン見出した。これらはいずれも、GFP発現だけでなく、リグニン化、局在化した二次細胞壁肥厚などがみられ、エクトピックに管状要素が分化したことを示した。現在、この原因遺伝子の解析を行っている。
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