研究概要 |
1)RNAiによるイネGI遺伝子の機能解析 RNAiによってGI遺伝子の発現が抑制された個体は、野生型に対して短日条件下で開花が遅延し、長日条件下で開花が促進された。この結果は、長日植物シロイヌナズナのgi変異体の長日条件下の表現型と逆であり、イネGI遺伝子は長日条件下で開花を負に制御する遺伝子であることが明らかになった。 2)イネFT遺伝子Hd3aの組織特異的発現 Hd3aのプロモーターにgus遺伝子をつなぎ、イネに導入しその発現部位を観察したところGUS活性はイネの葉において維管束の師部及び維管束の周辺に見られた。この結果は、Hd3a遺伝子の発現が葉で行われ,その後、花成誘導を行う物質は茎頂に輸送され、そこで機能する、という興味深い可能性を否定しない。 3)Hd1によるHd3aの転写抑制のプロトプラストを用いたトランジエント解析 イネCO遺伝子Hd1をエビキチン・プロモーターにつないだプラスミドと、イネFT遺伝子のひとつであるHd3a遺伝子のプロモーターにgus遺伝子をつなげたプラスミドを、エレクトロポレーションを用い同時にイネプロトプラストに導入し、GUS活性を解析した。その結果、Hd1によりHd3aプロモーター活性が抑制されることがわかった。 4)光中断効果の解析とその遺伝子発現に対する影響 短日植物でよく効果が観察される光中断の効果を検討した。その結果、イネにおける光中断による開花遅延効果は、播種後の時期、処理の日数に依存することが明らかになった。光中断後にGI, CO (Hd1)およびFT (Hd3a)の発現を解析したところHd3aの発現が劇的に抑制されており、光中断の分子レベルのターゲットがHd3aであることが示唆された。
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