研究概要 |
葉細胞分裂の極性制御:葉の縦方向への細胞数制御に関し、シロイヌナズナの国際ゲノムプロジェクトで見落とされていた遺伝子・ROT4を見いだした。またゲノムを検索した結果、ROT4は新規かつ種子植物特異的なペプチド遺伝子ファミリーの一員であることも判明した。この遺伝子ファミリーで高度に保存される領域の構成的発現は葉の短小化を引き起こし、GFP融合型遺伝子産物は細胞膜に局在した。この遺伝子ファミリーの一員について遺伝子破壊株を得たが、シロイヌナズナ、イネ共に形態的異常を示さず、遺伝子ファミリーのメンバー間での機能の高度な重複が示唆された(Narita et al.,2004)。 葉細胞の極性伸長制御系:横幅を制御するAN遺伝子産物について、シロイヌナズナとは遠縁のアサガオからホモログIANを単離し、その配列の保存性を比較した。さらにIANをシロイヌナズナan変異体に導入したところ、葉の形態における変異表現型は相補されたが、葉の表面に生える毛の形態については、相補の程度が低かった。したがってAN遺伝子ファミリーにおいては、毛の形態制御と葉の形態制御とを切り離して扱えることが示唆された(Cho et al.,2005)。 一方、縦長を制御するROT3と、それに配列上最も類似したCYP90D1との酵素機能について解析した結果、ROT3はTY→CSの代謝変換過程を触媒していることが、強く示唆された。これはブラシノステロイドの活性分子種合成に関わる遺伝子として初の同定である(Kim et al.,2005)。
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