研究課題
まず細胞の葉の縦方向への極性伸長を制御する遺伝子ROT3に関して、生化学的な機能解析を行なった結果、ROT3/CYP90C1はTY→CS、またROT3に最も近縁なCYP90D1については、TE→TYの代謝変換過程を司っていることを強く示唆する結果を得た(Kim et al. 2005)。これは、葉の縦方向への極性伸長制御系と、ブラシノステロイドの活性分子産生系との強いリンクを示す初の報告である。またCYP90D1のmRNA発現レベルが光条件の影響を受けること、また暗所における葉の避陰反応がrot3-1変異体で極端に低下していることを見いだした(Kozuka et al. 2005)。一方、横方向への極性伸長制御に関わるAN遺伝子については、シロイヌナズナとアサガオとのホモログ間の比較の結果、葉の形態制御能は比較的よく保存されていることが判明した(Cho et al. 2005)。さらに、細胞数の少ない細葉の変異体an3について解析した結果、葉原基におけるplate meristemの活性低下が判明した(Horiguchi et al. 2005)。一方、葉の細胞体積は逆に野生株よりも増大していた。これは「補償作用」現象(Tsukaya 2005, 2006)に関する新しい実例である。このAN3遺伝子をクローニングした結果、ヒトSYTに類似のco-activatorをコードすることが判明した。AN3 mRNAの発現は、葉原基中の細胞分裂領域に特異的であり、また過剰発現により葉の細胞数が増大し、葉面積が大型化した。したがってAN3遺伝子は、葉原基における有限型細胞分裂の促進因子である。さらに、AN3遺伝子と相互作用する転写因子遺伝子候補を探索した結果、AtGRF5が葉原基における細胞分裂の正の制御系での相互作用因子であると結論された(Horiguchi et al. 2005)。またシロイヌナズナan3のように細胞数減少に伴って葉の横幅が減少する事例を自然界より見いだし、その解剖学的解析結果を報告した(Tsukaya et al. 2006)。
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