促通拡散性糖輸送担体(GLUT)のひとつであるGLUT4(インスリン調節性グルコーストランスポーター)はインスリン感受性組織(骨格筋・心筋・脂肪細胞)に特異的に発現しており、インスリン刺激により細胞内プールから細胞膜上へトランスロケーションする。一方、GLUT4の翻訳後修飾としてN-グリコシル化やリン酸化が知られているが、その生理的意義は不明である。最近新たな翻訳後修飾機構として、GLUT4のSUMO化が報告された。本研究では翻訳後修飾という観点から、インスリンによるGLUT4トランスロケーション促進機構を明らかにすることを目的としている。14年度の研究により、(1)GLUT4はSUMO化反応における結合酵素であるmUbc9により、プロテアソームを介する分解から回避され発現タンパク量が増加すること、(2)このmUbc9の作用はC93A変異を導入したmUbc9ではみられないこと、(3)GLUT4分子内のmUbc9結合部位由来ペプチドGLUT4-(467-477)を細胞内に導入するとGLUT4量が減少すること、さらに(4)インスリンはGLUT4のSUMO化を促進すること、などが明らかになった。(平成15年度第46回日本糖尿病学会にて発表予定)。またGLUT4のユビキチン化についても検討を行い、GLUT4のユビキチン化部位を明らかにした。
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