研究課題/領域番号 |
14037232
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
堀 清次 京都大学, 大学院・生命科学研究科, 講師 (30321706)
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研究分担者 |
垣塚 彰 京都大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (80204329)
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キーワード | ポリグルタミン / VCP / p97 / AAA ATPase / フォルディング / 腺ガン / 出芽酵母 |
研究概要 |
(1)VCP及びそのコファクター類の組織分布を免疫組織染色により解析した。マウスでは、管腔構造をとる上皮系の細胞や免疫系細胞、乳腺上皮細胞、胃酸分泌細胞などの分泌機能をもつ細胞で、VCPの強い発現が見られた。ヒト組織でも上皮系の細胞に強い発現が見られ、脂肪肝に伴う細胞内油滴およびMallory bodyの形成部位でも顕著な発現が検出された。また、ヒトがん組織では上皮系の形態をとる細胞で強く発現していた。これらの結果から、VCPはタンパク質や酸などの分泌でも重要な役割を果たしていることが示唆された。 (2)HeLa細胞のVCPを5%未満に低下させるsiRNAを作成した。この系にsiRNAの標的とはならないようにデザインした変異体を再導入してタンパク質を置換する普遍的手法を確立し、次の2つの系でVCPあるいはその修飾型が重要な役割を果たしていることを見出した。 (2)-1 HeLa細胞ではVCPのノックダウンにより紡錘体極の数が不安定になり、M期で細胞周期が停止もしくは細胞死に至った。野生型VCPの導入で細胞の増殖は回復し、特定部位のリン酸化を模倣する変異体の導入では増殖が更に活性化した。抗体による染色から、このリン酸化VCPは紡錘体極やセントロソームでタンパク質の会合と分離に寄与していることが示唆された。 (2)-2 培養細胞に発現させたルシフェラーゼを熱ショックにより変性させると、VCPのノックダウン細胞では活性の回復が遅れた。野生型の導入では活性は回復したが、D1領域のATPase欠失変異体では回復が見られなかった。変性蛋白質の機能回復におけるD1領域ATPase活性の重要性が明らかとなった。 (3)VCPが関与する信号伝達経路を解明するため、VCPの発現に依存して生育する温度感受性株を得た。ゲノムライブラリーのスクリーニングにより、温度感受性を回復させる8つの遺伝子断片を得た。
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