研究課題/領域番号 |
14037257
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
森 正敬 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (40009650)
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研究分担者 |
寺田 和豊 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (00253724)
後藤 知己 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 講師 (20264286)
矢野 正人 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助手 (60315299)
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キーワード | Hsp70 / Hsp40 / 精子形成 / アンドロジェン受容体 / 小胞体ストレス / CHOP / アポトーシス / LPS |
研究概要 |
タンパク質の機能発現と晶質管理を担う分子シャペロンのうち、HSP70ファミリーは中心的役割を果たしている。我々は、哺乳類サイトゾルのHSP70ファミリーであるHsc70、Hsc70と協同で働くHSP40ファミリーやその他のコシャペロンについてin vitroで明らかにしてきた。本年度は、HSP40ファミリーのDnaJA1ノックアウトマウスを作成し、アンドロジェン受容体の過剰活性化を伴った精子形成異常を見出した(EMBO J 2005)。この成果は、in vitroで機能的に等価な活性を有するDnaJA1とA2が、個体レベルで特異的な作用点が存在することを意味する。すなわち、Hsc70の機能発現に必要なHSP40ファミリーは必ずしも個体レベルで同等でなく、個々のHSP40ファミリーが特異的に作用する基質の選択によって決定づけられることを意味する。 一方、われわれは小胞体ストレスと病態との関係について研究を進めている。糖尿病における膵β細胞の細胞死(アポトーシス)、炎症モデルとして一酸化窒素(NO)にさらされたマクロファージのアポトーシス、脳虚血における神経細胞死は、小胞体ストレスによって誘導される転写因子CHOPを介して引起されていた。CHOPとアポトーシスの間に存在する機構として、アポトーシス誘導因子Baxのミトコンドリア移行を見出し、この過程がHsp70-DnaJA1シャペロン系によって抑制できることを明らかにした。本年度は、敗血症ショックモデルとしてLPS刺激による肺障害をマウスで誘発し、CHOPの誘導とその転写活性化因子であるATF4ならびにXBP1の誘導を見出した。その後のアポトーシスは、Chopノックアウトマウスで抑制されたことから、ここでも小胞体ストレスが病態に重要な役割を果たしていることが、明らかとなった(JB 2005)。
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