研究概要 |
計画研究A04のμ→eγ探索実験の研究者らと協力して液体キセノンガンマ線検出器のエネルギー分解能ならびに時間分解能の評価を行うために、液体水素ターゲットにπ^-粒子を入射させ以下の反応で得られるガンマ線を計測する実験を行った。 π^p→π^0n,π^0→γγ この反応で生成される2つのガンマ線は、それぞれのエネルギーと2つのガンマ線がなす角度との間に相関があり、175-180度の開き角で放出されるイベントを選択すれば、ガンマ線のエネルギーは55MeVまたは83MeV(半値全幅0.3%)のいずれかとなる。この実験のため本研究では液体水素ターゲットならびにNaI検出器アレイを準備し、NaI検出器アレイを水素ターゲットから約1m離れた位置に配置した。NaI検出器としては64個の結晶からなる検出器を準備しエネルギー分解能6.5%(83MeV)、位置分解能約6cmの精度でガンマ線の同定を行った。これにより液体キセノンガンマ線検出器大型プロトタイプに入射するガンマ線のエネルギーを高精度で絞り込むことに成功し、検出器のエネルギー較正、分解能評価にとって重要な方法を確立した。 並行して、詳細なパラメータを取り入れたシミュレーションプログラムの開発を継続した。特に入射窓でのシンチレーション光の反射の影響を考慮に入れ、アルファ粒子からのシンチレーション光を利用してキセノン中でのシンチレーション光の吸収長を算出する際の精度を大幅に向上することに成功した。 アルファ粒子以外の粒子による検出器のキャリブレーション方法についての考察と大型プロトタイプを使用した計測も行った。特に熱中性子に対するキセノンの応答を詳しく調べ、熱中性子を利用した検出器キャリブレーションの可能性についての考察を行った。
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