神岡地下実験施設のクリーンルーム内に放射線遮蔽を含むテスト用1kg検出器を設置し、バックグラウンドの測定を開始した。まず、キセノン中の放射性不純物の含有に関しては、2種穎の純化装置をテストした。その結果、大きな差がみられた。従来使用していたOxisorbからは多量のウラン、トリウム系列の放射性不純物が認められたが、SAESゲッターからは殆ど認められなかった。さらに、ラドンを含有しない空気による検出器周辺のベンチレーションを行った結果、バックグラウンドを全エネルギー領域で約5分の1に下げることに成功した。低バックグラウンドゲルマニウム検出器や質量分析器を用いて検出器自身および検出器周辺の物質の放射性不純物濃度を測定し、使用物質の選定を行った。これらの放射性不純物濃度の測定結果を基に詳細なシミュレーションを行い、それとテスト検出器によるバックグランド測定の結果を比較検討した。その結果、光電子増倍管と検出器を断熱するためのステンレス製の真空容器が大きなバックグランド源であることを突き止めた。以上、測定結果は、目標の値よりも1桁程度悪かったが、原因は究明されており、改良を加えることにより世界のトップレベルに到達できることが分かった。それと同時に、現在開発中の暗黒物質探索用検出器において、MeV領域専用の信号読み出しラインを作り、暗黒物質探索と2重β崩壊の異なる領域のバックグランドを、同時にしかも詳細に測定する準備を進めている。
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