マイクロ波励起非平衡大気圧プラズマを用いて大気圧雰囲気下において酸化シリコン薄膜のシリコン基板に対する超高速・異方性選択エッチングを試み、下記の成果を得た。 1)マイクロ波励起非衡大気圧プラズマ中にNF_3ガスをベースとして導入し、プラズマ源と基板間の距離依存性を調べた。その結果、基板間距離5mm以上では、急速にエッチング速度が減衰することが分かった。基板間距離5mm程度で高速エッチング(14μm/min)が実現できることを見出した。さらに、酸化シリコン薄膜とシリコン基板との選択比は200以上であり、同プラズマプロセスにより、超高速・超選択比エッチングが安定して得られることが分かった。 2)超高速エッチング中に少量の添加ガスを導入することにより、レジストマスクに対して、酸化シリコン膜を大気圧下において異方性エッチングできることを世界で初めて実現した。また、レジストとの選択比は、ほぼ無限大であり、当初の研究目的を実現することができた。 3)反応機構を解明するために、フーリエ変換赤外吸収分光法によってプラズマ下流の気相反応を計測した結果、気相中でHFが生成されていることが分かった。このHFが酸化シリコン膜表面に吸着した水と反応し、表面にモノレイヤーの液層(ナノ臨界場)が生成され、この液層の中での電気化学的反応によって超高速エッチングが実現されていることを解明した。 これらのナノメーターの液層の高精度制御が高精度のエッチングプロセスを構築する上で必要不可欠であると考えられる。
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