研究概要 |
近年波長多重通信の進展など,波長軸上で多くの光波を利用することの重要性,情報の秘匿性を高めるニーズも高まっている。これらのニーズに対応するには,波長多重通信など多数の波長を同時に発生,制御する技術,またこれらを集積する技術を開拓して扱える情報量を高めるとともに,単一光子を発生・検出する技術を研究開発して量子暗号通信など秘匿性の高い通信システムの研究を進める必要がある。 当該研究では,GaAs基板上に成長した赤外波長域をカバーするGa(In)NAs窒化物半導体により,これまで困難とされた1.6ミクロンまで長波長領域をカバーすることに成功した。これにより可視域をカバーするZnSe, ZnCdSなどの半導体や,赤外域の異なる波長域をカバーするGaNAsSb/GaAs系半導体など同時に研究を進めている赤外・可視波長域同時発光材料も用いて,GaAs半導体基板上に格子整合した可視波長域発光デバイスと赤外波長域発光デバイスを同時集積する可能性の端緒を開いた。また我々が開発したピラミッド型微小光共振器に関しても,これまで問題になっていたピラミッドと分布反射ミラー(DBR)との結合状態に関する理論計算から,ある程度積層数を増すことが最適結合に重要であることがわかった。またこのような共振器から単一光子を発生させるのに必要な単一量子状態として,混晶半導体の混晶揺らぎに潜む単一局在準位を取り出すことに成功し,離散的な発光を観測することができた。
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