研究概要 |
1.GaAs/AlGaAs導波路作製プロセスの最適化 化学的機械研磨(CMP : chemical mechanical polishing)によるテンプレートの平坦化について検討した。各種条件の最適化をおこなった結果,パッドにSURFINを,スラリーにNaOCl (6g/l, INSEC NIB)を用いて,印加圧力60g/cm^2という極めてマイルドな条件で研磨をおこなうことにより,5nm以下の平坦化を実現することができた。CMPによって平坦化したテンプレート上で再成長をおこなうための基板処理法能についても検討し,塩酸・過酸化水素系エッチャントを用いたエッチングにより,保護酸化膜を形成することで良好な再成長が可能であることを見出した。並行して,ドメイン境界の垂直に保持した再成長を実現できる成長条件の特定にも取り組み,ドメイン境界の伝播方向がMBE再成長時のV/III比(As flux/Ga(Al)flux)と成長するAlGaAsの組成に強く依存することをあきらかとした。また,平坦化テンプレート上での再成長時に発生する段差の復活についても検討を加え,低温成長(基板温度300℃)によってこれを抑制できることをあきらかにした。 2.GaAs導波路型光パラメトリックデバイスの作製と評価 赤外域で動作する超小型光パラメトリックデバイスを念頭に置いて,QPM周期7.6μmのGaAs/AlGaAsリッジ型導波路を作製し,長さ2mmのデバイスでパラメトリック蛍光(parametric fluorescence : PF)測定をおこなった。ポンプ光源として波長1064nmのcw Nd:YAGレーザを用い,短波長側のシグナル光を検出した。ポンプ光をTM偏光でデバイスに入射したところ,結晶の対称性を反映してTE偏光のシグナルが得られた。また,デバイスの温度を変えて測定したところ,その温度係数は波長1.6μm付近で-1.3nm/K, 3μm付近で4.4nm/Kであった。
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