研究課題/領域番号 |
14042201
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
三浦 猛 愛媛大学, 農学部, 教授 (00261339)
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研究分担者 |
山内 晧平 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (10109514)
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キーワード | 環境ホルモン / エストラジオール-17β / 11-ケトテストステロン / 精巣器官培養 / セルトリ細胞 / ニホンウナギ / 精子数減少 / 精子形成 |
研究概要 |
ウナギは、生体外で全精子形成過程を再現できること、精子形成の内分泌制御機構が比較的詳細に明らかになっていること、さらに、雌性ホルモン:エストラジオール-17β(E2)が精原幹細胞の再生分裂に作用することが明らかになっていることから、内分泌かく乱物質の精子形成の作用機構を調べる上で、優れた実験系と言うことができる。本研究は、このウナギの精巣器官培養系を用い、雌性ホルモンの精子形成への作用機構を解析し、内分泌かく乱物質共通の精子形成への作用メカニズムの解明への方向性を示すことを目的に行われた。 雄ウナギの血液中には、何れの成熟段階でも100〜500pg/mlのE2が存在しており、また、生体外培養系では、100pg/mlの濃度のE2の培養液への添加により最も効果的に精原幹細胞の再生増殖分裂が誘導されることが明らかとなっている。すなわち、E2により制御されている精原幹細胞の再生分裂は、雄性ホルモン:11-ケトテストステロン(11-KT)により誘導される精子形成の最中でも起こる。そこで、11-KTとE2の精子形成に与える相互関係を精巣器官培養系を用い、形態学的に調べた。1pg/mlから1μg/mlまでの様々な濃度のE2を10ng/mlの11-KTと共に培養液に添加し、E2と11-KTが精子形成に与える相互作用を調べたところ、1ng/ml以上のE2と11-KTを同時に添加した場合、著しいセルトリ細胞の肥大化と、それに伴う生殖細胞数の減少が観察された。 以上より、生体に存在する程度の濃度のE2と精子形成を誘導するのに必要な量の11-KTが同時に存在しても、精子形成には大きな問題は引き起こさないが、E2の濃度を若干増加させるだけで、精巣および精子形成に対し悪影響を及ぼすことが明らかとなった。
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