本研究は、平成13年、14年度の当該特定領域の助成を受けて1年間ごとの申請により2年間をかけて、分子インプリント膜による内分泌攪乱物質の認識とそれによる分難及び検出技術の確立と題して実施した。これにより分子インプリント法を利用した内分泌攪乱物質やダイオキシンやジベンゾフラン骨格を有する環境汚染物質に対して選択的な認識機能を持ち、高効率に捕捉できる高分子分離膜を開発できた。特色としては分子インプリント機能と膜機能を融合させた素材を用い、いわゆる内分泌攪乱物質等の環境汚染物質にだけテーラーメイドした素材を創製しうる事ができ、さらに付加的価値としては膜やフイルムといった形状に加工できるのでその応用の範囲が広いことである。本アプローチでダイオキシンやジベンゾフランに対し高い捕捉容量(10^<-6>mol/gポリマー材料)を持つ多孔性膜を開発でき、さらにカフェィン等の物質をインプリントした膜と水晶振動子微量天秤と組み合わせて、膜内濃縮した化学物質量の検出に利用することに成功した。また光グラフト法による分難膜表面へのビスフェノールAのインプリント層形成に成功した。この表面はビスフェノールAを高い選択性を保持して取り込み、14x10^<-6>mol/gの捕捉容量を有し、他のフェノール誘導体よりも素早く、結合できることがわかった。分子インプリント膜による環境ホルモンの検出デバイスの検討では、ジベンゾフラン認識が膜素材の持つ官能基との電荷移動錯体で生じていることがわかったため、これを応用したフタル酸エスチル系の膜材料と電荷移動錯体を形成する事を明らかにし、これにより高感度な発光分光法を適応し内分泌攪乱物質への微量分析法の可能性を探ることができた。従って本研究で得られた研究成果はその意義は極めて深く、この分野の技術的進展に大きく貢献できた。
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