研究概要 |
二次発生的同族体も含めた内分泌撹乱物質の新しい識別・評価・除去法の創製を目的として,モデルとしてビスフェノールAを対象物資として下記項目に関する検討を行った, 1)ビスフェノールAの高速液体クロマトグラフィーにおける分析条件について詳細に検討を行った。 2)ビスフェノールAの選択的認識のための分子認識媒体の調製を行った。 3)塩素化されたビスフェノールAの認識について,その分子認識媒体の検討を行った。 4)來雑物質の影響を抑えるための手法について検討を行った。 5)環境内での有機物質の分解挙動について検討を行った。 これらの検討により、下記に列記する成果を得た。 ・ビスフェノールAの環境中での濃度は極めて低く,このため,前濃縮をともなう分析方法では,使用する水の精製が極めて重要であり,分析環境からの暴露も含めて慎重に対応しないと,濃度評価を誤る要因が多いことを明らかにし,その対応方法を示唆した。 ・ビスフェノールAの認識に関して,疑似的な鋳型を用いる分子インプリント法が有効であることを示し,塩素化された同族体に関しても,メチル基を疑似置換基とする疑似鋳型物質での対応が可能であることを明らかにした。 ・來雑物質の影響を抑えるために,分子鋳型表面をイオン性の高分子で被覆する方法を開発し,このことにより検出限界を1ppt程度の極微濃度までにすることに成功した。 ・環境内では,難分解性の有機物質も比較的容易に分解されることが明らかとなり,このことによる分解除去方法の開発の方向性が示された。
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