研究課題/領域番号 |
14042252
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高濱 和夫 熊本大学, 薬学部, 教授 (80150548)
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研究分担者 |
福永 浩司 東北大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90136721)
副田 二三夫 熊本大学, 薬学部, 助手 (10336216)
白崎 哲哉 熊本大学, 薬学部, 助教授 (30264047)
田中 英明 熊本大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90106906)
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キーワード | 内分泌撹乱物質 / ジエチルスチルベストロール / エステロジェン受容体 / Ca^<2+> / カルモジュリン依存性キナーゼ / 受動的回避反応 / 海馬の長期増強 / 脳 / 胎仔期 |
研究概要 |
平成13年度までに、内分泌撹乱化学物質のプロトタイプのジエチルスチルベストロール(DES)のマウス胎仔期後期曝露は、マウスの受動的回避反応(PAR)を抑制し、海馬のCa^<2+>/カルモジュリン依存性リン酸化酵素(CaMKII)のリン酸化型のレベルを著明に増強することを明らかにした。そこで、平成14年度は、DESの作用部位の一つと考えられるエステロジェン受容体(ER)αおよびβサブタイプのmRNAのマウス胎仔〜乳仔期の脳内における発現と変動をRT-PCR法により調べた。また、胎仔期DES曝露による海馬のリン酸化型CaMKII (P-CaMKII)の増加の発現時期と経過について、さらに、この増加と受動的回避反応の抑制や海馬のシナプス長期増強(LTP)現象との間に関連はあるのかについて検討を加えた。【実験成績】1.ERαおよびERβの双方のmRNAはE11の時点で雌雄の脳にすでに発現していた。2.ERαmRNAは、雌雄の海馬および大脳皮質の双方において、E17、P1、P7、P14、P21と成長につれて、その発現レベルが増加した。一方、ERβmRNAの発現レベルは、雌雄の海馬および大脳皮質双方において、E17に比べてP21ではその発現はわずかに増加したが、ERαに比べて発達に伴う発現の増加は著明ではなかった。3.DES胎仔期後期曝露による雄の海馬のp-CaMKIIの増加は、出生後3週6週12〜14週のマウスでも見られた。また、p-CaMKIIのβ型が先行して増加し、α型は6週12〜14週令において著明に増加した。4.DES胎仔期後期曝露によりPARが抑制されたマウスと抑制されなかったマウスにおいて、前者は海馬および大脳皮質においてP-CaMKIIが有意に増加した。さらに、5.P-CaMKIIが増加したマウスでは、海馬CA1領域における20Hz刺激によるLTPも有意に増強された。
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