研究概要 |
内分泌攪乱物質で活性化されるエストロゲンレセプターにより引き起こされる付加的な生理作用について,その分子メカニズムを解明することが本研究課題の目的である.1つのモデルとしてconstitutive active typeのエストロゲンレセプターcaERαとcaERβを組換えアデノウイルスベクターおよびコンディショナルトランスジェニック(cTg)マウスを作製し,エストロゲンレセプターシグナルのgain of functionを生体内で検討をおこなった.特に子宮に発現する遺伝子に関して,抗体染色,in situ hybridizationにより検討し,併せてその生理的意義について性周期,着床期,における子宮への影響を検討した結果,マウス子宮において種々の分子マーカー(J. Mol. Endocrinol.,2002)のup-/down-regulationが観察された,これら分子マーカーの発現はERα特異的またはERβ特異的に,制御されている応答遺伝子が存在を示した. 個体における新規遺伝子導入法の検討,特に生体内に直接アデノウイルスを導入しGain of functionを行うことができ(Methods Mol. Biol.,2002),それらの遺伝子の機能を解析すると言った方法論の検討・開発,内分泌攪乱物質で活性化されるエストロゲンレセプターの生殖学的な機能解析のモデルとして有用性が示唆された、さらに,caERα,caERβのcTgマウスの作製にそれぞれ成功し,少なくともこれらのcTgマウスの数ラインでレポーター遺伝子の発現を確認した.つまり,生きた試薬の準備が整った.次年度は,これらの試薬を使用して内分泌攪乱物質で活性化される遺伝子群の解析およびその生理的意義について,分子レベルかつ個体レベルで網羅的な解析に迫る.
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