研究概要 |
平成14年度の本特定領域研究の研究期間において、チアントレン骨格を有するスルフィルイミンと親電子性フッ素化剤であるSELECTFLUOR^<TM>とを反応させることにより、対応する環状S-フルオロチアザインが得られる方法を見出した。また、得られたフルオロチアザインとモルホリンとの反応により、S-アミノチアザインを複素環化合物としてはじめて合成した。本年度は、[1]イミノやアリール基を有する多元素環状チアザイン類の合成を試みた。まず、イミノ化反応は、10,10-ジオキシチアントレン骨格を有する環状S-フルオロチアザイン1とジフェニルスルフィルイミンとの反応をアセトニトリル中、40℃で反応を行った結果、対応するジフェニルイミノ基が置換した新規環状チアザイの合成に成功した。次に、環状フルオロチアザイ1とフェニルアニオンとの反応を低温装置を用いて反応を行った。その結果、化合物1とフェニルリチウムとの反応では、複雑な生成物を与えたが、求核剤を臭化フェニルマグネシウムに代えたところ、目的のフェニル置換環状チアザイを得ることが出来た。また、[2]10-オキシ-5-イミノチアントレン(2)をケミカルプローブとして用い、化合物2とSELECTFLUOR^<TM>との反応及び、得られたフルオロ体3とモルホリンとの反応の立体化学について検討した。化合物2のトランス体とSELECTFLUOR^<TM>との反応を低温装置を用いて行ったところ、得られたフルオロ体3の立体化学は、S=0とS≡Nの関係がシス体であることをX線構造解析により明らかにした。またシス体3とモルホリンとの反応では、S=0とS≡Nの関係がトランス体であるモルホリノチアザイが得られることが分かり、これらの反応の立体化学をはじめて明らかにした。
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