研究概要 |
1.アート錯体型アリル金属反応剤と1,6-ジイン類との反応では金属上のアリル配位子が三炭素成分として生成物に取り込まれ、マンガンの場合には七員環、クロムの場合には六員環を持つビシクロ化合物が一挙に生成することを既に報告している。今回、1,6-エンイン類を基質としてとりあげ、クロムアート錯体との反応について検討したところ、アリル基の導入を伴つて五員環形成反応が効率良く進行することが明らかとなった。さらに、触媒量の塩化クロムの存在下、1,6-エンインに塩化メタリルマグネシウムを作用させると、炭素-マグネシウムをもつ環化体が得られることを見いだした。この有機マグネシウム種は種々の求電子剤と反応させることにより、炭素-炭素結合生成反応や官能基導入反応に利用できることを明らかにした。さらに、アート錯体型アリルクロム反応剤はアレンとも反応することを見いだした。オレフィン部分をもつアレンとメタリルクロムアート錯体を反応させるとメタリル基のアレンへの付加を伴った環化反応が進行し、五員環化合物が得られることを見いだした。 2.α,α-ジブロモオキシムエーテルにGrignard反応剤を作用させると、一段階で三置換ピリミジンが収率良く得られることを見いだした。THF中、低温でα,α-ジブロモケトンのオキシムメチルエーテルに様々なGrignard反応剤を反応させると、ピリミジンの2位にアルキル、アルケニル、アリール基を簡便に導入できることが明かとなった。一方、Grignard反応剤としてアリルマグネシウムクロリドを用いると、ジアリルアジリジンが収率よく得られることも発見した。
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