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2003 年度 実績報告書

反応性ルテナサイクル中間体を経由する触媒的新規機能性有機分子の創製

研究課題

研究課題/領域番号 14044050
研究機関京都大学

研究代表者

近藤 輝幸  京都大学, 工学研究科, 助教授 (20211914)

キーワードルテニウム錯体触媒 / メタラサイクル / 4-ペンテン-1-オール / 2,3-ジヒドロフラン / 酸化的環化 / アルキン / [2+2+2]付加環化反応 / o-フタル酸エステル
研究概要

新しい有機材料を創製することは、社会的に常に強く期待、要請されている重要な研究課題であり、最も有力な手段の一つは、新しい概念に基づく高選択的炭素骨格形成新反応を利用した新しい型の機能性有機分子(モノマー)の合成である。本研究では、まず、従来の有機金属化学において錯体レベルでの研究が主であったメタラサイクル錯体、特に反応性ルテナサイクル錯体を触媒的新規機能性有機分子の合成反応に利用することを試みた。
ルテニウム錯体触媒は、アルコールの酸化反応やアルコールを用いるアミンのN-アルキル化反応等、アルコール水酸基の活性化を経る水素移動反応に高い触媒活性を示すことが知られている。これらの反応では一般に、アルコール水酸基のルテニウム活性種への酸化的付加、続くβ-水素脱離反応により、ケトンあるいはアルデヒドが生成するが、我々はβ-水素脱離反応が進行しない1,1-二置換アリルアルコール類の酸化的環化カルボニル化反応、および1,1-二置換ホモアリルアルコール類の触媒的炭素-炭素結合切断反応を開発し報告している。本研究では、さちに炭素鎖を一つ延ばした1,1-二置換4-ペンテン-1-オール類を基質に選び、ルテニウム錯体触媒を用いる新規変換反応の開発を行った。その結果、酢酸アリルおよび炭酸カリウム共存下、一酸化炭素加圧下において、Ru_3(CO)_<12>/PPh_3触媒系を用いる1,1-二置換4-ペンテン-1-オール類の酸化的環化反応が良好に進行し、対応する2,3-ジヒドロフラン誘導体が高収率で得られた。本反応では、まず、ルテニウム活性種への酢酸アリルの酸化的付加が起こり、(π-アリル)ルテニウム中間体が生成、続いてアセトキシル配位子と4-ペンテン-1-オールの水酸基との間の配位子交換反応により、(アルコキシ)(π-アリル)ルテニウム中間体が生成する。この段階ではβ-水素原子が存在しないため、O-[Ru]結合への二重結合の分子内挿入が起こり、続くβ-水素脱離、異性化反応を経て、2,3-ジヒドロフラン誘導体が得られる機構が考えられる。
一方Cp^*RuCl(cod) [Cp^* = pentamethylcyclopentadienyl;cod = 1.5-cyclooctadiene]錯体触媒存在下、2分子の末端アルキンと1分子のアセチレンジカルボン酸ジメチルとの交差[2+2+2]付加環化反応によるσ-フタル酸エステル誘導体の高効率合成法を見出した。通常、アルキンとアセチレンジカルボン酸エステルとの交差[2+2+2]付加環化反応では、1:2付加物である1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸エステル誘導体が主生成物として得られるが、本反応では、2:1付加物であるo-フタル酸エステル誘導体のみが良好な収率で得られる点が興味深い。本反応は、アルキン1分子とアセチレンジカルボン酸ジエステル1分子とのルテニウム上での酸化的環化反応によるルテナシクロペンタジエン中間体を経由して進行していると考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Teruyuki Kondo: "Ruthenium Complex-Catalyzed Oxidative Cyclization of 4-Penten-1-ols"Chemistry Letters. 32・1. 24-25 (2003)

  • [文献書誌] Yasuyuki Ura: "Ruthenium-Catalyzed Synthesis of o-Phthalates by Highly Chemoselective Intermolecular [2+2+2] Cycloaddition of Terminal Alkynes and Dimethyl Acetylenedicarboxylate"Journal of Molecular Catalysis A : Chemical. 209・1-2. 35-39 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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