研究概要 |
ケイ素あるいは窒素などのヘテロ原子を組み込んだ多元素環状化合物の合成を、低配位14族典型元素活性種を活用し以下の様に検討した。 1)含ケイ素1、3-双極子の発生法の開発及びビシクロ環化への応用 予備的実験の結果を参考に、ケイ素と酸素との高い親和性に着目し、まず、直鎖状トリシランへの光照射によって発生したシリレンをアルデヒドあるいはケトン部位をもつ不飽和化合物で捕捉し、分子内のシクロ付加を行った。その結果、基質である非共役の不飽和カルボニル化合物から、一段階でオキサシラシクロペンタン環が縮環した様々な多元素複素環が好収率で合成できた。例えば、シクロペンタン、ヘキサンあるいはブタン環が縮環したもののみならず、フラン環、スピロ環を含むビシクロ環の構築に成功した。本反応では、基質のカルボニル基はアルデヒドだけでなくケトンにも適用でき、また不飽和基は双極子付加に対して一般に不活性な電子求引基をもたないアルケニルあるいはアルキニル基にも展開可能であることが判明した。 2)ケイ素の特性を利用する含窒素複素環合成 α位にケイ素をもつイミンあるいはアミドを出発原料とし、熱またはフルオロシランの添加により、1,3-双極子であるアゾメチンイリドを発生させ、固相あるいは液相でシクロ付加を行い、種々の含窒素複素環を合成することに成功した。本法は、1,4-シラトロピーあるいはフルオロシランのイミン窒素の四級化、脱シリル化による新しい双極子の発生法であり、高度な複素環の合成に非常に有用であることが明らかになった。
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