研究課題
ルイス酸によって促進される反応は、合成化学で重要な役割を果たしており、種々の環形成反応にも用いられている。エンイン環化反応は、遷移金属により多様な反応形式が知られているが、ルイス酸によるエンインの環化の報告はこれまで少なかった。最近、ルイス酸による電子欠乏性アルケンとアルキンを持つ鎖状化合物のハロゲン化水素付加を伴う5員環形成反応を見出した。この反応をさらに詳細に調べる目的で、内部アルキンと異なる反応性をもつ可能性のある末端アセチレンをもつエンインの環化反応を検討した。プロパルギル-アミドエンインは、ハロゲン化亜鉛による反応でγ-ラクタム誘導体を主生成物として40%の収率で与えたが、δ-ラクタム誘導体も副生成物として26%の収率で与えた。δ-ラクタム誘導体は系内に混入した水が反応に関与したと考えた。そこで、プロパルギル-アミドエンインのジクロロメタン溶媒中メタノール存在下、ハロゲン化亜鉛による室温での反応を行ったところ、メタノールが付加した6員環生成物であるδ-ラクタム誘導体が53-75%の収率で主生成物として得られることを見出した。エタノール、ベンジルアルコール、アリルアルコールも同様に反応した。さらに、p-TsOHやCF_3COOHなどのブレンステッド酸の存在下でのプロパルギル-アミドエンインの反応は系内の水が関与した別の2種類の6員環化合物の混合物を与えることがわかった。なお、6員環形成はトリエステルエンイン、ジエステル-ケトンエンインでは見られなかった。
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