研究概要 |
エチレンやプロピレン野重合触媒としてはKaminsky触媒,Brookhart触媒やGrubbs触媒等により、低分子から高分子量ポリマーが水中でも合成できるようになってきた。一方、光学材料として有用なノルボルネンやジシクロペンタジエンのビニル型重合体は機能性材料として有用なこれらの開環重合体の研究は未だ緒についたばかりである。従って、本研究ではこれらのモノマーを用いて開環重合やビニル重合を行い分子量が大きく、シスまたはトランス選択性の大きなポリマー合成を目的としている。特にヘテロ環を含むようなリジッドな構造が必要と考えられる。ピリジン-ビスイミノ基を有するモリブデン錯体を用いてノルボルネンの重合を行うと、シス選択性が90%以上の高分子量ポリマーが得られ、エチレンの重合も可能であった。しかし、ノルボルネンとエチレンの共重合は進行しなかった。さらにビフェノレート配位子を含むモリブデンおよびタングステンを用いMMA0を助触媒とした系でもノルボルネンのシス選択的開環重合が進行した。またカテコラート配位子を有するタングステン錯体にMMAOを添加した系でも、ノルボルネンのシス選択的開環重合が実現した。またカルコゲンを架橋材としたチタンのヘテロアトム含有錯体は単独でも、カプロラクトンやラクチドの開環重合機能を有することを見出した。ターピリジン配位子を有する鉄錯体にMMAOを添加した系では、イソプレンやブタジエンに対して高い重合活性が認められた。
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