研究概要 |
特異なπ-電子系を有する非交互共役縮合環化合物の橋頭位に窒素を導入した含窒素縮合複素環化合物は、興味ある物性や生理活性を持つことが知られている。先に、8-ホスホイミノ-1-アザアズレン誘導体及び関連含リン化合物を合成し、その構造を明らかにし報告した。今回の研究において、8-ホスホイミノ-1-アザアズレン誘導体の反応性を検討し、興味ある環化反応により縮合複素環合成に成功した。また、1-アザアズレン N-イリド類の双極性付加環化反応により新規縮合複素環を合成した。 8-ホスホイミノ-1-アザアズレン誘導体とアルデヒド類との反応では、5-5-7員環を有する3環性化合物が得られた。一方、8-ホスホイミノキノリン誘導体とベンズアルデヒドとの反応は全く異なった5-6-7員環を有する3環性化合物が得られた。8-ホスホイミノ-1-アザアズレン誘導体と活性アセチレンとの反応では双極性付加環化反応が生起し、1:3-付加環化体(6-5-5-7員環を有する4環性化合物)及び1:4-付加環化体(5-6-6-6員環を有する4環性化合物)が得られた。この結果は、Heterocyclesに報告した。 クラウンエーテル存在下、8-ブロモ-1-アザアズレンと塩基の反応によりデヒドロ-1-アザアズレンを発生させ、イソベンゾフランやフランで捕捉し、Diels-Alder型付加体及び双極性付加環化体を得た。生成物の構造はX線構造解析により決定し、アザアズレン骨格の結合交替について議論を行った。この結果は、Heterocyclesに報告した。 1-アザアズレン N-イリドと活性アセチレンとの反応では、置換基により異なったタイプの双極性付加環化反応し、反応は溶媒をMeCNからDMAと変化させると1,8-付加体が増加し、ルイス酸触媒により収率向上が見られた。この結果は、西日本大会で発表した。
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