研究概要 |
最近、ゼオライト(ミクロ多孔体)やシリカメソ多孔体はそれ自身に関する興味に加え、其の多孔体空間に新奇な物質を作る鋳型として注目を集めている。著者は共同研究者の協力の下、電子線結晶学的手法を用いて、これらの原子スケールでの構造評価・決定を行っている。本年度は以下の結果を得た。 [ミクロ多孔体] (i)新型ゼオライトの構造を解く手法を開発し、其れを利用してBECの構造解析を行った。さらに、BECの表面構造の安定性について、電子顕微鏡観察結果と表面エネルギー計算結果を用いて議論した。 (ii)AFI型シリカSSZ-24について、電子顕微鏡観察結果からその非整合構造を明らかにし、rigid-unit-modelによるエネルギー計算によりその起源に関する議論を展開した。 [メソ多孔体] (i)シリカメソ多孔体MCM-48と、その空間にカーボン・ネットワークを作ったMCM-1,MCM-4について構造解析を行った。 (ii)各種シリカメソ多孔体の空隙に白金ナノネットワークを作りその構造を評価した。 (iii)世界で始めて合成された、シリカー有機基が規則的に配列した壁を有するメソ多孔体について、その壁の規則性を証明した。 [電子線回折による構造解析の新手法] 現在、ミクロスケール、メソスケール、マクロスケールと異なる長さスケールの規則性を有する構造体に適用可能な構造解析手法はない。今回、それらを含めた新たな解析手法を提案し、計算機実験でこの手法が有効であることを示した。
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