研究概要 |
H14年度ではアミノ酸誘導体系オイルゲル化剤(試料コード:P-1)のゲル化機構を小角中性子散乱(SANS)および動的光散乱(DLS)により研究した。H15年度では、対象とするゲル化剤の種類を広げ、ゲル化剤の化学構造とゲルの構造およびゲル化機構の研究を行った。試料コードはNo.1からNo.3で、それらの化学構造はP-1に比べて構造が簡単であり、官能基とゲル化能の関係の解明研究に有効と考えられる。 ゲル化後、20℃で測定した各ゲル化剤のSANS強度曲線I(q)を得た。溶媒はいずれも重水素化トルエンである。また、試料濃度は最小ゲル化濃度であり、No.1からNo.3の順で3g/L(No.1)、12g/L(No.2),30g/L(No.3)、25g/L(P-1)であった。どのゲル化剤も溶媒であるトルエンに比べてI(q)は強く、またq依存性を持つことから、ゲル中で特徴的な構造が形成されていることがわかる。SANS測定の結果、比較的単純な構造のNo.1は棒状の会合体を形成していると推論した。一方、対称性の高い構造をもつNo.2は0.08Å^<-1>付近に散乱極大をもつことから、ラメラ的な結晶構造をもつと推測される。 No.3は非常に構造対称性が低いため、かさ高い凝集構造を形成し、P-1と同じくフラクタル的な構造体が形成されていると推論できる。動的光散乱においても、試料間に違いがみられ、No.1はハイドロゲル的な柔らかい網目からなること、それ以外は、剛直な針状物の集合体を示唆する結果を得た。これらの成果は既に1報が論文掲載が決まり、さらに数報の論文としてとりまとめを行っている。
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