研究概要 |
1.種々の水素結合部位を有するヘキサアリールベンゼンホストの合成とネットワーク構造 我々は、パラ位に水酸基やカルボキシル基を有するヘキサアリールベンゼンが多孔質2次元水素結合ネットワークを形成することを見出している。そこで有機ゼオライトを指向するさらなる多様な多孔質水素結合ネットワーク結晶を構築すべく、Co触媒を用いたジアリールアセチレンの環化三量化反応を基盤として、様々な水素結合部位を有するヘキサアリールベンゼンホストを合成した。具体的には、ヘキサキス(3,5-ジヒドロキシフェニル)ベンゼン1、ヘキサキス[4-(ジヒドロキシボリル)フェニル]ベンゼン2、ヘキサキス[4-(オクタノイルナミノ)フェニル]ベンゼン3,ヘキサキス[4-(N'-オクチルウレイド)フェニル]ベンゼン4を合成した。ホスト1に関してはX線結晶構造解析に成功し、チャンネル構造を有する多孔質3次元水素結合ネットワークを形成することがわかった。 2.多孔質2次元水素結合ネットワークの共有結合ネットワークへの変換の試み 我々は既にヘキサキス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン5が多孔質2次元水素結合ネットワークを形成することを見出している。そこで、事前構成化されたホスト5の多孔質2次元水素結合ネットワーク単結晶に架橋剤ゲストとしてMeSi(OMe)_3やMe_2Si(NMe_2)_2を包接させた後に、5の水素結合部位(水酸基)と架橋剤ゲストとの反応を行い、多孔質2次元水素結合ネットワークの2次元共有結合ネットワークへの変換を検討した。粉末X線回折測定の結果から、得られた不溶性ポリマーは完全なアモルファスではなく、ある程度周期的な構造をとっていることがわかった。さらに、このポリマーは2-ブタノンや安息香酸メチルの蒸気雰囲気下に1-2日間曝すと、これらゲストを吸着し別の周期的な構造に変化することがわかった。この結果から、共有結合性多孔質ポリマー、即ち、共有結合に基づく有機ゼオライトが生成したものと考えられる。
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