細胞外の領域は細胞外マトリクスと呼ばれる巨大分子が取り囲んでいる。例えばヒアルロン酸は、高い保水能力を持ち、組織に水分を保つのに役立っている。また組織の形成や修復時に多量のヒアルロン酸が生産されたり、関節での潤滑剤としての役目を果たしている。ヒアルロン酸中の拡散に関しては、益田らの実験があり、距離やヒアルロン酸濃度を変えた時の拡散係数が測定されている。我々はブラウニアンダイナミクスの手法により、ヒアルロン酸中の粒子の拡散の研究を行った。 拡散定数を長距離拡散の場合と短距離拡散で比較した。長距離拡散の場合は、温度を上げると拡散定数が上昇するが、さらに高温で拡散が遅くなるという、ターンオーバーが見られる。これはヒアルロン酸の運動が活発になり粒子拡散を阻害しているためと考えられる。 また1つのセルから別のセルへのジャンプに着目すると、ジャンプする時にポリマーが外側に動くことがわかる。この場合はヒアルロン酸が粒子拡散を促進している。 詳しい計算が現在進行中である。
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