研究分担者 |
山口 昌弘 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10222366)
棚橋 誠治 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00270398)
諸井 健夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60322997)
山田 洋一 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00281965)
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研究概要 |
ヒッグスセクターについては,電弱対称性を破る機構の新しいアイデアである,余剰次元を導入しスカラー場のないヒッグスレス模型を調べ,Wボソン散乱のユニタリ性の条件を考慮すると,電弱精密測定と整合性を保つことが困難であることを見いだした。これは模型を構築する際の強い制約となる。 超対称理論については,最近のB中間子崩壊のCPの破れの測定における標準理論の予測からのずれが新しい物理の片鱗の視点から注目されているが,このデータのずれの方向と超対称スカラークォークの質量混合のカイラリティとが密接な関係にあることを指摘した。このことは将来のBファクトリーの実験から超対称理論の基礎定数を決定する上で重要になると考えられる。また,Bの輻射崩壊に対するQCD2ループの高次補正を吟味し,従来より厳密な計算を行った結果,グルオンへの崩壊では数割の補正効果を生じうることが示された。高次補正ではグルイノの質量に対する2ループの補正の評価も行い,数%の大きさの有意な効果があることがわかった。 宇宙論に関しては,超対称グラビティーノの宇宙初期における生成量に対する制限について,従来の解析で見落とされていたハドロンへの崩壊の効果が結果を大きく変更することを見いだした。また,レプトン数生成を経由するバリオン数生成機構において,右巻きスカラーニュートリノが普通に熱生成された場合は十分な数の生成が困難であり,インフレーション場の崩壊によってスカラーニュートリノが生成されれば問題のないことがわかった。
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