研究概要 |
基本的には、異常U(1)ゲージ対称性を用いた超対称性大統一理論の私が提案したシナリオについての研究を行いました。そのシナリオでは、対称性で許される相互作用すべてをO(1)係数で導入するという自然な要請をしているので、対称性を定めるための10個ほどのパラメータを決めるだけ理諭を定義することができ、その枠内で、現象論のほとんどすべての問題が解けてしまうことは、驚くべきことであり、この方向に本物の大統一理論があることを確信させるに十分な結果であると考えています。 今年度の主な研究成果としましては、まず、我々のシナリオのゲージ結合定数の予言が、ヒッグズセクターの詳細によらず、常に、最小SU(5)大統一理論の予言と一致する、ということを証明し、陽子崩壊について、現在の実験バウンドと矛盾しないような予言を与えました。従来、4次元の大統一理論で、陽子崩壊の実験と矛盾しないで最小SU(5)のゲージ結合定数に対する予言を自然に説明するモデルはほとんとありませんでしたので、この結果は、重要なことです。 もう一つの重要な成果は、このシナリオの枠組みの中で、世代間のゲージ対称性、SU(2)_H、もしくは、SU(3)_Hを導入することで、クォーク、レプトンを統一しつつ、現実的な質量行列(ニュートリノも含む)を実現できることを示しただけでなく、更にその統一により、超対称性理論の大きな問題である、フレーバーを破る過程が大きく出すぎてしまう、という問題を自然に解決できることを示しました。その際に、大統一ゲージ群として、E_6が有望であることを示しました。もし、ゲージ群として、E_6*SU(3)_Hを採用すれば、3世代のクォークとレプトンは、たった、一つの場(27,3)に統一することができます。
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