研究課題/領域番号 |
14046223
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
飯嶋 徹 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80270396)
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研究分担者 |
塚本 敏文 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (20192643)
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キーワード | RICH検出器 / エアロジェルRICH / TOPカウンター / ハイブリッド型光検出器 / MCP-PMT / ASIC |
研究概要 |
本研究では、強磁場中での動作が可能なリングイメージング型チェレンコフ検出器(RICH)用光位置検出器の開発研究を行った。具体的には、将来のBファクトリー実験のために開発を行っているエアロジェルRICH検出器やTOPカウンターでの使用を想定し、ハイブリッド型光検出器(HPD)やマイクロチャンネルプレート内蔵PMT(MCP-PMT)といった磁場耐性の強い光検出器の試作を行った。また、テストベンチを製作し、試作した光検出器の基本性能試験を行った。HPDについては、近接型構造を持つ3x3マルチチャンネル型HPDを製作し、光電子を8KVの加速電圧でフォトダイオードに打ち込んだ際のゲインが2000以上あり、十分なS/N比でシングルフォトンの位置検出ができること、1.5テスラの強磁場中でもゲイン劣化が殆どおこらないことなどが確認できた。また、フォトダイオードとしてアバランシェフォトダイオードを使用したタイプ(HAPD)についても試作を行いアバランシェ増幅による付加ゲインによって20000以上のゲインが得られ、その有用性が確認できた。一方、MCP-PMTについてもマルチアノード型のテストを行い、光電子の収集効率がやや低い(約60%)ものの1.5テスラ中において、10^6以上のゲインと優れた時間分解能(約35ps)でシングルフォトン検出を行えることが確認された。また、こういったマルチアノード型光検出器を実際の実験で使用する際には、多チャンネルの信号を処理する専用電子回路が必要となるため、ASICチップのデザインや性能試験も行った。結論として、本研究の開発によりマルチアノード型HPD(HAPD)が高い検出効率を必要とするエアロジェルRICH検出器に、またMCP-PMTがシングルフォトンの高時間分解能読み出しを必要とするTOPカウンターに有用であることが確認できた。将来このような検出器を実用化すれば、Bファクトリー実験における粒子識別性能を格段に向上し、B中間子やタウ・レプトンの崩壊実験の精度を改善できるであろう。
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