今年度は、TAMA検出器が2回の観測をおこなった。(うち一つは昨年度末からのもの。)これらは相関解析の協定を結ぶ米国LIGO計画の観測と同期して行われた。これらのデータを使用するために、クラスタ計算機のRAIDディスク容量を3TB増設した。 イベント探索解析については、昨年度に着手したブラックホール準固有振動からのリングダウン重力波の探索について、多くの進捗が得られた。最も重要なのはマッチドフィルター解析において、最適なテンプレート群を用いるためのデザインと、実際の計算における最小マッチ率の確認である。これはシミュレーション等を用いて、TAMA実機データで確認しされた。リングダウン波形についてのこのようなテストは、まだよく考察されていない内容であり、世界に先駆けてリングダウン探索が成熟しつつある。現在、銀河系内でのイベント(質量の3%が重力波になると仮定)であれば、50%以上の検出効率でとらえることが可能である。次に雑音による疑似イベント棄却の手法(veto解析)をテスト中である。ここではフィルター出力の非対称性や指数関数的な減衰の性質をもちいた棄却方法、マッチしたテンプレート数の不自然さをもちいたveto判定を試みている。vetoの方法は、最終的に観測上限値を得るために、十分に雑音起因の偽イベントを棄却する必要がある。 相関解析については、TAMA-LIGO間で、バースト重力波、連星合体のインスパイラル波形、γ線バースト(GRBO30329)との相関解析が進行中である。
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